労働法実務講座

近年、従来型の「正社員」と「非正規雇用労働者」の働き方の二極化を緩和し、「正社員」雇用そのものについても多様な受け皿を設けることで、使用者にとっては、優秀な人材の確保や定着を可能とし、労働者にとっては、ワーク・ライフ・バランスの実現や希望するキャリア形成を図れるような、労使双方にとって望ましい働き方が求められています。
働き方が多様化すると、これまで以上に労働契約の明確化を図り、労使トラブルを予防する必要性も高まります。来年４月からは、裁量労働制の見直し、就業場所・従事業務の「変更範囲」、無期転換申込機会の通知と無期転換後の労働条件、更新上限の有無・内容についての明示の義務化などが予定されています。また、本年３月と7月には、割増賃金、トランスジェンダーの職員のトイレ利用、基本給の待遇差について、それぞれ注目すべき最高裁判決も出されています。

本講座では、近時の注目判例とともに、
① 賃金等の実務やサービス残業、過重労働問題など職場で日常的に直面しうるトラブルと対応策
② 多様化する雇用形態と労働契約関係の明確化のための法的留意点
③ 各種ハラスメントの法的理解と実務対応（申出から調査・方針決定までの流れ）
④ ジョブ型の賃金制度における職務変更や降格の考え方
⑤ 退職・解雇などの契約終了段階における法的マネジメント
　 に関する実務対応のポイントを具体的に解説します。

労働法コンプライアンスの実践と多様な働き方実現に向けた環境整備をはじめ、労務トラブルの解決・未然防止や健全な職場運営に本セミナーをお役立ていただきますよう、ご案内を申し上げます。

第１部　１１月２８日（火）　１０：００～１６：３０
賃金等の実務、労働時間管理のポイント、労基署対応、健康と安全配慮等、法規と実務の徹底解明

１．賃金・賞与・退職金

　１．賃金の意義と支払の５原則

　　　賃金のデジタル払い

　２．賞与・退職金の法的性質と支払を巡る諸問題

２．労働時間管理の基本と実務

　１．労働時間制度の基本ルール
　２．労働時間の適正な把握と管理　

　　　労働時間の適正な把握のためのガイドラインを踏まえて
　３．時間外労働・休日労働とは
　４．三六協定と割増賃金をめぐる諸問題

　　　時間外労働の上限規制・月６０時間超の割増賃金率の引上げ
　５．割増賃金支払いをめぐる近時の裁判例と法的留意点

　　　【本年３月】トラック運転手の割増賃金に関する最高裁判決

　６．多様な労働時間制度

　　　裁量労働制の見直し

３．労基署対応の実務　

　　　労働基準監督行政の現状と対応上の留意点
　１．労働基準監督署と監督官
　２．労基署の臨検で指摘されやすい事項とは
４．健康と安全配慮に関する対応
　１．安全配慮義務の意味と会社の法的責任
　２．メンタル疾患による休職の実務対応　

　　　メンタル不調者への法的対応策
　

第２部　１１月２９日（水）　１０：００～１６：３０
多様化する雇用形態、ハラスメント対策、ジョブ型の賃金制度における職務変更・降格、退職・解雇・経営合理化等、法規と実務の徹底解明
  

１．多様化する雇用形態（有期・パート・派遣）
　１．有期雇用契約を締結する際のポイント

　　　無期転換申込機会の通知と無期転換後の労働条件の明示の義務化

　２．有期雇用契約の様々な形態と「雇止め法理」の実務上の留意点

　　　更新上限の有無・内容の明示の義務化
　３．パート社員、有期契約社員及び派遣社員の均等・均衡待遇　

         【本年７月】基本給の待遇差に関する最高裁判決

２．各種ハラスメントの法的理解と実務対応等

　　【本年７月】トイレ利用制限訴訟の最高裁判決

　１．各種ハラスメントと法規制（男女雇用機会均等法、育児介護休業法、労働施策総合推進法）

　２．事実調査にあたっての留意点

　　　近時急増中の各種ハラスメント申立てへの実務対応

３．配転と職業上・生活上の不利益、降格と賃金の減額

　１．配転命令

　　　就業場所・従事業務の「変更範囲」の明示の義務化

　２．降格

　　　ジョブ型の賃金制度における配転・降格の考え方　　　
４．退職・解雇・経営合理化　

      解雇規制を踏まえた退職・解雇のマネジメント
　１．解雇とその他の退職事由との違い
　２．普通解雇、懲戒解雇の事由
　３．解雇予告の手続と法的留意点
　４．退職・解雇トラブルの未然防止策と対応ポイント

◆実務にすぐ活用いただける、資料集・判例集・条文集を当日お渡しいたします。
◆質疑・応答の時間を適宜設けてすすめてまいります。

■参加枠のご予約について

参加者が確定していない場合は、確実に参加いただけるよう参加枠の予約を受け付けております。

参加枠予約の有効期間は、開催４週間前までとなっておりますので、それまでに正式申込手続きをお願いします。

■参加者変更を希望される場合

お申し込み後に参加者を変更される場合は、お電話にてご連絡ください。

当方にて申込データを修正いたしますので、再度お申込確定メールに記載の参加証URLを開いていただければ修正された参加証を入手いただけます。

■キャンセルを希望される場合

開催日10日前までは、お申込み確定メールに記載のURLよりWEB上でキャンセル処理が可能です。

開催日10日以内のキャンセルにつきましては、お電話でのみ受け付けます。

なお、お客様のご都合により研修・セミナーお申し込み後にキャンセルされる場合には、以下のキャンセル料を申し受けます。ご返金が発生した際には、払込手数料を差し引いてご返金いたします。
〈キャンセル料〉

（１）開催日前日12：00まで　…　なし
（２）開催日前日12：00～17：30　…　受講料の50％
（３）開催日前日17：30以降～当日　…　受講料の100％

　※前日が土日祝日にあたる場合は、その前営業日が前日となります。

　※営業時間（9：00～17：30）以降のご連絡は、翌営業日とみなします。

■中止・延期について

講師の急病や天災・人災などの災害といった不可抗力により、止むを得ずセミナーを中止・延期する場合がございます。その際は、ホームページにてご案内するとともに、セミナー申込連絡担当者の方へ電話もしくはメールにてご連絡いたします。なお、中止の場合、受講料は返金いたしますが、それ以外の補償は行いません。

■受講料のお支払いについて

原則として、開催前日までにお振込みにてお支払いください。

■同業の方のご参加、プログラムの転用はご遠慮ください。

公益財団法人　九州生産性本部　（担当：案浦）