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生産性運動とは

生産性運動と九州生産性本部の創立

生産性運動は、第2次世界大戦後の米国を中心とする経済復興計画を機に、まず西ヨーロッパで始まりました。昭和23年(1948年)にマーシャルプランの一環として設置された英国生産性協議会の活動を契機に、相ついで各国に生産性機関が発足し、さらに昭和28年(1953年)には、それらの連合体としてヨーロッパ生産性本部が活動を開始しました。

日本における生産性運動は、戦後の経済復興と時を同じくして、昭和30年に労働者・経営者・学識経験者の三者構成による中立機関として日本生産性本部が発足したことにより始まりました。生産性運動が国民運動として本格的な活動へ発展していく中、昭和31年に九州の労・使・学の三者が一堂に会し、九州地域経済の生産性向上を目的とした「九州生産性本部」を設立いたしました。

以後、当本部では、雇用の維持拡大、労使の協力・協議、成果の公正配分を三原則として、健全な労使関係の確立と調和ある経済発展を通じて、わが国経済の発展や国民福祉の充実に向け、各種事業を展開しております。

今日の生産性運動

現在、グローバル化の一層の進展、少子高齢社会の進行、環境問題への世界的な関心の高まりといった社会構造の急速な変化、重ねて依然として先行き不透明な経済情勢が続いているなか、生産性運動においても新たな視点に立った展開が求められております。

今日の厳しい経済情勢を乗り切り、仕事と生活の調和を図りながら経済成長を実現するには、アジア市場全体を「内需」ととらえ需要と供給双方の拡大を図り、あらゆる分野の生産性の向上に取り組むことが、国民共通の重要課題であります。

我々は、雇用の維持・拡大、所得格差の是正、ワークライフバランスの推進、サービス産業の生産性向上など、当面する課題に対して、従来にも増して積極的に挑戦していかなければなりません。

今まさに時代を超える“生産性”の普遍的価値が要請されていると考えております。

生産性の概念

昭和28~30年当時は、「生産性」は投入と産出の比率を示す、いわば効率性と同義語と解釈され、静的で技術的な意味が強かったのですが、生産性運動の展開にともなって、生産性の概念は人間主体性の尊重と福祉の実現という経済的・社会的概念へと大きくふくらんできました。昭和34年(1959年)にローマで開催されたヨーロッパ生産性本部の会議で、人類の進歩に結びつけた生産性の概念を次のように定義づけています。

生産性の精神


生産性とは、何よりも精神の状態であり、現存するものの進歩、
あるいは不断の改善をめざす精神状態である。
それは、今日は昨日よりもより良くなし得るという確信であり、
さらに、明日は今日に優るという確信である。 それは、現状がいかに優れたものと思われ、事実また優れていようとも、 かかる現状に対する改善の意思である。 それはまた、条件の変化に経済社会生活を不断に適応させていくことであり、
新しい技術と新しい方法を応用せんとする不断の努力であり、
人間の進歩に対する信念である。
(ヨーロッパ生産性本部ローマ会議報告書より 1959年3月)

生産性運動の三原則

(1) 雇用の維持・拡大

生産性の向上は、究極において雇用を拡大するものであるが、過渡的な過剰人員に対しては、国民経済的な観点に立って能う限り配置転換その他により、失業を防止するよう官民協力して適切な措置を講ずるものとする。

 

(2) 労使の協力・協議

生産性向上のための具体的な方法については、各企業の実情に即し、労使が協力してこれを研究し、協議するものとする。

 

(3) 成果の公正配分

生産性向上の諸成果は経営者・労働者および消費者に、国民経済の実情に応じて公正に配分されるものとする。

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