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 「生産性白書」は、2020年3月に生産性運動65周年の節目を迎えるに当たり、生産性運動の再起動を図るとともに、政労使における生産性に関わる議論のベースとなるものを作成したいという趣旨で取りまとめたものです。いわば、第二の生産性運動の道標となるようなものにしようという想いが込められております。
 本白書の刊行に当たっては、日本生産性本部が設置する生産性常任委員会において2年近く議論を重ね、2020年9月の生産性運動65周年記念式典で発表しました。

 本サイトでは、新春記念企画として、全3回(今月毎週火曜日更新)の連載で、本白書の内容と、取りまとめにご助力いただいた生産性常任委員会委員の方々によるコラムをご紹介します。
 連載初回となる今回は、本白書のねらいと提言を中心に、また、ポストコロナに向けた生産性改革の方向についても議論の一部を概説します。


     

.「生産性白書」のねらい

 

 本白書の主なねらいは以下のとおりです。


  • グローバル化とデジタル化により経済社会構造が大きく変質する中、コロナ禍も加わり、生産性をめぐる政策、経営、技術革新、働き方が問われています。
  • 人口減少、少子高齢化は着実に進んでおり、日本が将来にわたり成長を持続するには、付加価値を継続的に生み出し、生産性を向上させていく以外に道はありません。
  • 本白書では、デジタル経済、人材投資、価格形成など各論点の分析を行った上で、生産性改革のあり方、生産性運動三原則の意義を確認し、労使および政府に対し、生産性向上に向けた提言を行っています。

.「生産性白書」提言

    

本白書では、以下の8つの提言を掲げています。

提 言
1. 生産性改革を推進する新たなプラットフォームづくり
2. 先端的なイノベーション促進への挑戦
3. 企業経営の革新
4. 働き方の改革と人間力の充実
5. 個人の生きがいの追求
6. 生産性運動三原則の今日的意義
7. 生産性改革の担い手の新たな役割
8. 生産性向上の効果を測定する新たな指標の開発



提言1.生産性改革を推進する新たなプラットフォームづくり

  • デジタル社会にふさわしい生産性向上に向けて、政府、経営、労働を挙げて、合意形成と効果的実現を推進する体制づくりに取り組みます。
  • 市場の枠組みの改革、企業経営の革新、イノベーションの展開、公正な成果配分、人間力の充実、SDGsへの貢献など全体最適を実現するプラットフォームを目指します。

提言2.先端的なイノベーション促進への挑戦

  • イノベーションは、人間の知的能力を拡張することにより、高度な価値の実現を目指すものです。これこそが、かつてない生産性を実現し、かつ新たな市場を創造し、革新的なビジネスモデルを創出します。
  • 創造力と柔軟性、決断力とコミュニケーション力といった「人間力」が基本となります。
  • イノベーションを通じて高齢化等の社会課題の克服を目指すと同時に、地球環境問題の解決などSDGsの実現を期します。

提言3.企業経営の革新

  • 企業の生産性を高めるには、経営力の強化が鍵となります。高度な企画戦略機能とそれを担う人材の育成確保が不可欠です。
  • 日本では、とりわけベンチャー企業の活動を促進するとともに、失敗を恐れない挑戦意欲と緻密な戦略性に富んだ経営者の育成が必要です。

提言4.働き方の改革と人間力の充実

  • 少子高齢化を乗り越えるには、経済の高付加価値化に向けた労働市場の構造改革が必要です。デジタル化は、新しい労働環境と創造的な能力開発のシステムを要請します。
  • 学校教育では、創造的な人材の育成に向け教育体系の改革が必要です。
  • 多様な人材が活躍できる社会環境と、個人がライフステージに見合った柔軟な働き方を実現できる労働環境の整備が急務です。

提言5.個人の生きがいの追求

  • 人生100年時代が到来します。一人ひとりが、働き方、学び方、生き方を自律的に選択する能力を高める環境整備が必要です。
  • 生涯を通じた切れ目のない学び直しの場の整備、個々人がキャリアを選択できる条件整備が不可欠です。

提言6.生産性運動三原則の今日的意義

(1)雇用の維持・拡大

生産性の向上は、究極において雇用を増大するものであるが、過渡的な過剰人員に対しては、国民経済的観点に立って能う限り配置転換その他により、失業を防止するよう官民協力して適切な措置を講ずるものとする。

⇒これからの社会において重要となるのは雇用、とりわけその質です。人間の価値と能力を高める仕事の創出が重要であることを確認します。


(2)労使の協力と協議
生産性向上のための具体的な方法については、各企業の実情に即し、労使が協力してこれを研究し、協議するものとする。
⇒経営と労働の信頼関係が生産性改革の基盤です。デジタル化、グローバル化が進み、就労形態が多様化する中、産業、企業の枠を超えた経営と労働の協力と協議の充実の必要性を確認します。


(3)成果の公正な分配
生産性向上の諸成果は、経営者、労働者および消費者に、国民経済の実情に応じて公正に分配されるものとする。
⇒成長と分配の好循環は、付加価値の持続的な増大の重要な要素です。企業のステークホルダーが、株主、従業員、消費者、取引先、サプライチェーンへ、さらには地域社会に広がっていることから、成果の公正な分配の必要性を確認します。

  

提言7.生産性改革の担い手の新たな役割

関係者には生産性改革の担い手として、次のような新たな役割を期待します。
経営者  : 経済構造の変化に対応する、新たなビジネスモデルの創出と経営革新の推進。
労働組合 : 働く者の声を代表する組織として、経営改善と労働環境の課題解決に貢献。
学識者  : 経済活動を多面的に分析、評価し、生産性向上と経済社会の改革に貢献。
消費者  : 責任ある消費行動を通じて持続可能な経済社会に貢献。
政府   : 民間が生産性向上に取組む環境と、公共分野のデジタル化など社会システム全体の改革への条件を整備。


提言8.生産性向上の効果を測定する新たな指標の開発

  • デジタル化の進展に伴う新たなサービスの出現やシェアリングエコノミーの拡充などにより、経済や市場に従来の経済指標では捕捉しきれない変化が生じており、これらに応じた生産性測定の方法の確立が求められています。
  • また、付加価値では捉えきれない消費者・生活者の便益の向上やSDGsへの貢献など、経済活動を多面的に評価する指標も求められています。
  • 日本生産性本部では労使、学識者の協力を得て、生産性向上の態様と進展度を評価する新たな指針の作成に着手します。

.ポストコロナに向けた生産性改革の方向

    

 新型コロナウイルス感染症の拡大は世界の人と物の流れを分断し、社会経済活動に大きな打撃を与えています。その克服には国際協調が不可欠であり、世界の経済回復と人の自由な往来の再開のためには、検査・治療体制の強化、専門人材の養成、ワクチンや治療薬の開発など、保健・医療問題の解決が何よりも重要です。コロナ危機の克服は、従来の価値観や慣習を超えて、よりよい協調的で革新的な世界を作るチャンスでもあります。
 今回のコロナ禍で日本のICTの普及と活用が官民ともに遅れていることが明らかになりました。行政手続きにおいても、民間企業のビジネスにおいても、業務効率化と高付加価値化の両面からのデジタル化が急務です。また、関連する新技術を応用できる人材の育成と活用が重要です。長期的には、コロナ不況から回復する過程で、各産業・業種内で新陳代謝が進み、経済全体の生産性が上昇することが期待されます。
 わが国が今後も成長を続けていくためには、コロナ後を見通す中長期視点に立って生産性改革を推進することが不可欠です。

  

★「生産性白書」の詳細はこちらをご覧ください。

    https://www.jpc-net.jp/movement/whitepaper.html 


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「尊厳のある仕事」世界で注目 
「生産性運動三原則の今日的意義」労使で共有を

        

   生産性常任委員会委員/
   日本私立学校振興・共済事業団理事長         清家  篤 氏 

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 生産性の概念は言うまでもなく日本生産性本部の活動の根幹を成すものだ。「生産性白書」では、人口、技術、市場などの構造変化の下での、生産性の持つ今日的意義と課題を整理している。とりわけ、生産性運動三原則の原点に立ち戻ったうえで、その今日的意義について確認・共有できたことの意義は大きい。
 日本生産性本部では労使で生産性向上とその適切な分配について考えてきた。生産性の問題を考える本家本元であり、生産性に関する知的プラットフォームの中心である。生産性向上は日本にとって最重要課題だ。今こそ日本生産性本部が社会の全体最適を実現すべく、その社会的役割を果たすときだ。

 私は2019年のILO(国際労働機関)創立100年を期して作られた専門家会議「仕事の未来世界委員会」のメンバーを務めた。そこでまとめた最終報告書で、仕事の未来を豊かにするために「人の潜在能力」「労働に関わる制度」「ディーセント(尊厳ある)で持続可能な雇用機会」という三分野への投資の重要性を提言した。「生産性運動三原則の今日的意義」は、この報告書の指摘した三つの投資拡大とも合致している。
 生産性向上の指針となる生産性白書を受け、企業がディーセントワークを提供する環境をどう確保するかは重要なテーマだ。ビジネスであるから利潤追求は当然であるが、それに加えて、消費者の生活を豊かにより良いものにすること、また、従業員の生活を豊かにし、かつ仕事を通じて成長し、地域社会などに貢献していけるようにすることもまた重要である。
 働く者の心得としては、能力を高められる機会を積極的にいかして、常に向上心を持つことが求められる。労働組合は、賃金や労働時間などに加え、能力を高めることのできる機会の確保なども含めて企業と交渉し、ディーセントな労働条件を確保するようにすることが重要になる。

 大きな技術革新を経るたびに、人間はその生産性を高めていった。肉体的な力のほか、正確性、記憶などに関しても、機械などによってそれを代替し、人は人にしかできない仕事に特化することで、生産性を向上させてきた。第四次産業革命のもとでの人にしかできない仕事とは、創造力、変化に対応する柔軟性、より大切なものを選び取っていく決断力、洞察・思いやりを基盤とするコミュニケーション力といった「人間力」による仕事だ。少子高齢化など現代社会の抱える課題の解決にも技術革新は大いに寄与するだろう。そうした技術革新を利用するには、それを利用しうる能力を身に付けるための教育や能力開発はますます重要になる。「人間力」によって、さまざまな社会問題は必ず解決できると信じている。

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